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本日のチラシの裏

色々と考えた事を置いておきます。最近は裏が白いチラシも減りました。

自律訓練法とその体験談

前置き

某所で自律訓練法についてあれこれ書いていたら「体験談を読んでみたい」と言われたので一通りまとめて書いてみる事にした。私は医師や臨床心理士ではないので、この記事はあくまで患者としての体験談である。興味を持たれた方はお近くの医療機関等へ相談されたい。

TL;DR 三行で

瞑想みたいな自己催眠療法
ストレスを軽減できる
保険がきく

自律訓練法とはなにか

心理療法の一種で、瞑想のように一人座って目を閉じて行う。元々は一人でできる催眠療法として開発されたらしい。数分間座って目を閉じ、心の中で「公式」と呼ばれる短いフレーズを繰り返す事でリラックスしたり、ストレスを緩和したりできる。鬱病神経症などの治療に使われているらしい。

効果について

催眠とか瞑想とかなんだか怪しげに聞こえるのだけれど、やってみると実際に効果があった。心が落ち着かず不安で苦しいときでも、この方法を使うと数分〜十数分で落ち着く事ができる*1。また、リラックス効果があるので緊張性の頭痛や肩こりにも効果があった。一時期は漢方やら痛み止めやらを幾つも飲むほど頭痛や肩こりが酷かったけれど、最近では肩が少し張ったりする程度ですんでいる。

やり方

色々なバリエーションがあるらしい。私が通っていたクリニックでのやり方は以下のようなものだった。
(注意:絶対に一人で試さないこと。やる場合は医師や心理士の適切な指導に従うこと。)

座って目を閉じる
心の中で「心が落ち着いている」と繰り返す
心の中で「右腕が温かい」と繰り返す(この時右腕の感覚に意識をもっていく)
心の中で「心が落ち着いている」と繰り返す
心の中で「右腕が重い」と繰り返す(この時右腕の感覚に意識をもっていく)
心の中で「心が落ち着いている」と繰り返す
心の中で「左腕が温かい」と繰り返す(この時左腕の感覚に意識をもっていく)
心の中で「心が落ち着いている」と繰り返す
心の中で「左腕が重い」と繰り返す(この時左腕の感覚に意識をもっていく)
目を開けて消去動作(上半身のストレッチなど)を行う
以上を3回繰り返す

慣れてきたら指導のもと、複数の公式を一つにまとめたり(「両腕が温かい/重い」など)、新しい公式を追加したり(「お腹が温かい」「呼吸が楽だ」など)して、だんだんと全身の感覚を対象にしていく。

副次的効果

訓練法が進行するにつれてだんだんと体に変化が起こっていく。緊張していた筋肉は緩んでいき、血流は増大し、指先などの末端に血が通うようになり実際に温度が上昇する。何だか書いていてすごく怪しい気がするが実際に起こる。汗をかくほど体温が上がる人もいた。

また、私は発達障害(ASDADHD)なのだが、自律訓練法から幾つかの有用なものを得ることができた。これは自律訓練法だけによる効果とはいえないと思うけれど、一応書いておく事にする(認知行動療法コンサータ/ストラテラの服薬、生活リズムの改善などの影響も多分にあると思う)。

感覚の変化

身体感覚が鋭くなることがある。発達障害だからか自己モニタリング機能が壊れていて、自分の体の不調を感覚的に把握することが難しいのだが、体の感覚に注意を留めていくと感覚が明瞭になり不調に気づくことがある。手足が冷え切っていることや背中に力が入りすぎていること、疲れていることや何かにストレスを感じていることに気づいたりする。以前は体の冷えや疲れに気づかずいきなり倒れるということも多かったが、これのおかげでかなり改善してきている。

集中への気づき*2

目を閉じて「公式」を唱えていても途中から脱線して違うこと(何か心配事とか)を考えはじめてしまう、ということが最初の頃にはよくあった。そうなったことに気づいた時は一旦考えるのをやめてまた公式に戻る。その「意識が公式からそれる→気づいて戻す」という事を繰り返していくうちに「意識がそれたこと」を知覚することが出来るようになった。

ADHDの方ならこれがどれくらいすごい事か理解してもらえると思う。今では目を開けていても、体調のいい日なら*3、集中しなければならないものから意識がそれてしまった事に(ある程度は)気づくことができる。調子が悪い時は今まで通り、意識があっちへそれてこっちへそれて、もはや戻ってこれない事もある(これは今まで通りだ)。

自律訓練法の良いところ

保険適用内

保険がきく。重要なのでもう一度繰り返す。この療法は健康保険が適応できるので3割(自立支援なら1割)負担で治療が受けられる*4

場所を選ばない

座って目を閉じるだけなので、色々な場所で気軽にできる。電車の中とかトイレの中とか、椅子っぽいものがあればだいたいOK。目を閉じてじっとしてるのが他人からどう見えるか考えると、人のいるオフィスとかではやりにくいかもしれない。睡眠の導入に使っている人もいた。

自律訓練法の悪いところ

習得に時間がかかる

一種の技術なので、少し効き目が出るまで数週間〜、一通り出来るようになるまで半年程度かかるらしい。私の場合も一通り出来るようになるまで半年、強制的に気分を落ち着けられるようになるまで更に半年程度(合わせて1年くらい)かかったと記憶している。一般的な抗うつ薬でも効果が出るのに2週間程度なのを考えるとかなり長い。

一種の抑圧(?)

これは確信があるわけではないが、実際にリラックスしている*5というよりは心を塗り潰して強制的にリラックスしているだけのような気がする。という事は娯楽などで気を紛らわせている状態に近いわけで、多用すると問題を引き起こすのではと思う。*6

まとめ

あれこれ書いたが習得までに時間がかかるのを除けば手軽で良い技術だと思う。興味がある人は近所の医療機関へどうぞ。

*1:もちろん本当に強い不安をどうにかするのはかなり難しい。そういう場合は無理せず薬をキメた方が効率がいい。薬と自律訓練法を両方使ってもいいし。

*2:完全に余談ではあるが、以前は「気づき」とか言っている連中が嫌いで仕方なかった。とはいえ他に適当な言葉もないので使っておく。恐らくだが、マインドフルネスで言われている気づきと同じものであろうと思う。

*3:私はこういうことができる日を「体調がいい日」なのだろうと認識しているが、もしかしたら他の要因によるものかもしれない。「体調のいい日ならできる」と思い込むと「何が何でも体調を維持しなければならない」というマインドセットにはまり込むので「まあそうかもしれない」という程度の認識に留めておく事にしている。

*4:もちろんクリニックが独自のやり方をしている場合などは適用外になるので事前に確認してほしい

*5:本当のリラックスと偽物のリラックスなどと言い出すと論争が起こりそうなので、実際という言葉を使ってみた。個人的な感覚だが、やはり家で実際にくつろいでいる時と自律訓練法で落ち着けている時では状態に差があるような気がする

*6:そもそも、ストレスが軽減したところでストレスの発生源が無くなるわけではない。他の全ての治療も同様だが。